当院では下肢静脈瘤、末梢動脈疾患、リンパ浮腫を中心に診療を行っています。
当院では下肢静脈瘤、末梢動脈疾患、リンパ浮腫を中心に診療を行っています。
末梢動脈疾患(PAD)は、腹部大動脈および上下肢の動脈硬化のために、慢性の血流障害を起こす病態をいいます。
特に足先の冷感、しびれ、歩行困難が起こり、放置しておくと足先が壊死を起こして切断に至ることもあります。
また、動脈硬化から起こる合併症として、虚血性心疾患や脳血管障害をきたすこともあります。
間欠性跛行は典型的な症状です。喫煙以外に、糖尿病、虚血性心疾患、脳梗塞などの基礎疾患があるとリスクが高くなります。
70歳以上もしくは、50~69歳で糖尿病もしくは、喫煙歴が10年以上の患者では約30%にPADを合併していると言われています。
このような方に対して低侵襲検査(ABI,血管エコー、CT/MR)を積極的に行い、より早期に発見、治療することが患者様のADLをよくするものと考えております。
動脈硬化に伴う狭窄あるいは閉塞病変に対して薬物療法(血管拡張剤や抗血小板剤)、血管内治療(バルーンカテーテルやアテレクトミーによって血管拡張を行う方法)、外科的治療(手術によってバイパスを作成したり、血栓内膜切除で血管を広げる方法)があり、これらを単独で、あるいは組み合わせて治療します。
また高気圧酸素療法や温浴療法などの補助療法も行っております。
下肢静脈瘤は、毎年200-300人の新患の方たちを診療しています。
下肢静脈瘤の当院での治療はストリッピング手術、結紮術、硬化療法、弾性ストッキングに加え、血管内治療(高周波アブレーションカテーテル治療)が中心ですが、病気の程度に加えて患者様の家庭や職場環境も考慮して治療方法を決めています。
すべて保険診療で行いますが、十分な治療効果が得られるよう熟達した診断と技術で治療を行っています。
しかし、下肢静脈瘤は必ずしも治療しなければいけない病気ではありませんので、説明後に治療を受けられるかどうかは患者様が決めればよいと考えています。
高周波アブレーションカテーテル治療とは?
従来はレーザー治療が下肢静脈瘤に対する血管内治療の中心でしたが、2014年6月に保険適応となった新しい治療法です。
皮膚に開けた小さな開口部から高周波アブレーションカテーテルを罹患静脈に挿入し、カテーテルから放出される熱により静脈壁を収縮させ罹患静脈を閉塞させてしまう治療法です。
カテーテルを挿入するためのわずかな侵襲で治療することができます。
患者様用パンフレット
下腿うっ滞性潰瘍は下肢静脈瘤や深部静脈還流異常により、静脈がうっ滞を起こし、潰瘍を形成する疾患です。
このような方に対して、弾性包帯による圧迫療法にて治療を行っています。
うっ滞性潰瘍は動脈性の潰瘍と違い、下腿内側に色素沈着を伴う潰瘍を伴うのが特徴です。
超音波検査による検査等を行い、静脈性潰瘍であれば、包帯による圧迫療法を患者様本人あるいはご家族に指導を行っています。
治癒には数ヶ月要することも多く、早期に受診いただき、治療を開始することが重要と考えています。
リンパ浮腫は熱感、疼痛を伴わない、白色を呈する上下肢の腫脹が主症状です。
乳がんや子宮がんの手術後の人が大部分ですが、一次性リンパ浮腫の患者様もおられます。
治療は、複合的理学療法を基礎とした日常生活指導とリンパ誘導マッサージ、弾性ストッキング・スリーブ着用が中心です。
当センターでは、下肢静脈瘤、閉塞性動脈硬化症、リンパ浮腫以外にも深部静脈血栓症や腹部大動脈瘤などの多くの血管疾患を診療しています。
常にエビデンスに基づいた医療ができるよう努力しています。